2021年02月24日

ローラからローズに毒を感じずにいられない

● 火事
● 100ドル札
● 「あんたは恵まれてる」
● 忠犬ジャックと強情なロバ
● 夫/父アルマンゾは何してたんだ

● 火事

ローラ・インガルス・ワイルダー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC
生まれたばかりの息子の死(1889年秋)、火災による住居の喪失(1889年秋)

毒家族に生まれて Vol.8
【後編】~“大草原の小さな毒親” ローラの自己責任論が壊した温かな家庭~
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g33269483/born-in-wuthering-family-vol8-laura-ingalls-wilder-and-rose-wilder-lane-200715/

「解釈」はともかく「出来事」は書籍に書かれている通りである。

ローラ・インガルス・ワイルダーと娘ローズ、そしてワイルダー家にとって最も衝撃的な事件と言えば、アルマンゾとの結婚4年目に発生した火事だ。これによって家財すべてを失った一家はたった一枚の100ドル札を忍ばせてはるかオザークへと移住せざるを得なくなる。

おそらく実際には単なるストーブからの出火だったのだろうが、この時わずか3歳に過ぎないローズは何故か自分が火事の原因を作ったと思い込んだ節がある。

ただ不思議なのはローズで、後年になっても自分がその火事の原因だと思いこんでいる。それが子どもの受けたショックだったのかはわからない。ただ、その誤解をローラが意識的にせよ無意識にせよ解かなかったことで、ローズの親に対する思いは大きく変わってしまった。

3歳のローズがなぜ火事を自分のせいだと思い込んだのか。

悪いことが起きると、子どもは自分のせいだと思いやすいと思う。
ショートカットで「自分のせい」。

アルマンゾの病気、それ以前につくった借金、息子の死、そして火事、と、
立て続けの悪い出来事と意気消沈する両親を見ているのだから、
子どもが「自分のせい」と思うリスクはとんでもなく高い。

しかも「きょうだいの死」はしばしば残された子が「自分が死ねばよかったのかな」と思う。
周囲の悲嘆を汲んで、自分を死んだきょうだいと言い出した=自分を消した実例すらある。

名前は伏せるが、
姉を亡くした妹5歳?が知らない女性から「お名前は?」と聞かれて姉の名前を答えた。
驚いた父が後で理由を聞くと
「みんなが悲しがってるから、わたしが**になれば悲しくないでしょ」。

● 100ドル札

ミズーリ州マンスフィールドにたどり着き土地を見つけ、いざ手付金を払いに行こうとすると、ローラの携帯用机に隠した100ドル札が見つからない(この旅に同行したクーリー一家はじめ、全員がローラがこの携帯用机に100ドル札を隠していたことを知っていた)。

契約のため一張羅をまとい上機嫌だったローラは一転、「ここに100ドル札を隠していたことを人に話していないか、携帯用机で遊んだことはないか」、人前でローズをいきなり責めることに。

身に覚えのない出来事を問い詰め追い込む母の姿にローズは大きなショックを受ける。結局は携帯用机の隙間から100ドル札は見つかるのだが、ローズが受けたショックは相当なものだった。

危機的状況で娘に疑いを向ける母ローラ。
火事の時にそれに近いものがあった可能性を、否定できなくない?

作中の、美化されたローラですら気の強さが見えるのだから、
ローラの「外へのエネルギー」が他罰で現れた時、向けられた者はたまったものじゃないでしょう。

それに、紙幣が紛失する以前にそもそも管理が甘いでしょう。
隠し場所を知るのは夫婦だけであるべきだし、机の開閉をするのは夫婦の前提なら、
人を疑う前に机の隅々まで徹底的に探すのが先である。
冷静な判断ができないのは想像するが、しかし回路がやっぱりおかしい。

● 「あんたは恵まれてる」

ローラの中に、娘へのこれがあった気がする。

四人姉妹の次女で、
二歳上の姉はすべてが完璧で、そのせいでいつも優劣の劣にされて、
四歳下の妹はやせていて体も丈夫でなく、守ってやらなくてはいけなくて、
弟が赤ん坊の時に死んで打ちひしがれる両親を支えなくてはいけなくて、
10歳下にまた妹が生まれて、母さんを助けなくてはいけなくて、
10歳から働き始めて(作品ではカットされている)、
12歳で姉のケア役かつ繰り上がり長女になって二重の責任を負わされて、
15歳からは姉のために働いたお金を進学資金にして、

これらは親の経済力の弱さによるところが大きいが、
「親が生んだきょうだいたちの存在」によるケア負担である。

ローズは弟を世話する間もなかっただろう。

「分配での取り分」の問題もある。

「仲良く」分けなさい、一緒に使いなさい、
「(きょうだい)の**を買おう」

「お下がり」の問題もある。

ローラから見ればローズは
・きょうだいのケアなし
・生殖した親のケア・手伝い=労働の一部肩代わりなし
・富と関心と愛情を独り占め
・きょうだいの存在が発生させる自己犠牲なし

もちろんローズから見れば
・自分と違う条件を基準にされても関係ない
・娘をねたむより自分の親に向ければ?
・親が子に恩着せってなに?
・言うほど恵まれてますか私が?困窮家庭で?

● 忠犬ジャックと強情なロバ

事実は知らないが作中で、
ローラには「ローラの犬」がいた。

「シルバー湖のほとりで」
ジャックは、だれよりもローラになついている、ローラの犬だった。

父チャールズの犬ではないの?と強烈に違和感があるのだが、
ローラ(とローズ)はそう書くことをおかしいと思わなかった。

アルマンゾと結婚して犬がいたが、
ローズに「ローズの犬」がいたようには思えない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC
娘のローズは知的な女性になり、両親が愛した田舎のライフスタイルに満足できず落ちつかないようになった。

彼女は後に、自らの不幸と、マンスフィールドの学校における孤立は、一家の経済的困窮と彼女自身の学業成績の評判によるものと記述した。

https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g33269483/born-in-wuthering-family-vol8-laura-ingalls-wilder-and-rose-wilder-lane-200715/
ロッキーリッジでの生活はローズにとって厳しかった。早熟で知的な子どもだったローズにとって教育に無関心な田舎の学校は退屈でしかなかった。しかも通学に両親からあてがわれたのがロバ。このロバがまた言うことを聞かず、学校では貧しさゆえの服装やロバのことをあげつらわれいじめられる。家に戻れば戻ったで農家の仕事は一人っ子のローズにも重くのしかかり、

ローズの孤独と辛さを思うと、泣けてくる。

家族の力関係は
夫>妻>子(年長子>年少子)で
動物を飼うと動物を末子の支配対象にすることができる。

ローズのロバが「ローズになつき、従順で、支配と愛玩に文句なし」だったら、
だいぶ救われたと思うが、上記である。

● 夫/父アルマンゾは何してたんだ

「教育は大事」へのルサンチマン
http://lttlleo.seesaa.net/article/480227202.html
娘を濡れ衣で責めた妻ローラを、夫アルマンゾは制止しなかったのか?
娘を守らなかったのか?

よくある、掃いて捨てるほどいる父オスの一人の、
「オレと妻子」感覚で、子への共感的関心がなかったんですかね。

まぁ性質的に言えば
アルマンゾは論理より技能の人という感じ。引き出しのある手作り家具とかすごいしね。
ローズは聡明で論理思考と言語能力が高い、知的有能者。

アルマンゾは安定した少年期を送って育ち、基本的な自信、自己肯定感が盤石。
だからこそ英雄的行動や農業投資に借金をするなどリスクの高い行動をとる。

ローズには安定した幼少期がない。

聡明かつおそらく繊細で不安定な娘を、
自信があり鷹揚、悪く言えば繊細さのない父が、
理解し共感してやれたとは思えないんだわ。


posted by Erin at 02:00| Comment(0) | Fismと「小さな家」シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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